悲劇のグアテマラ(後編)−−−和解と裁判、その後 〜〜失われた未来・政治的腐敗〜〜
”幸福のグアテマラ”のために
1993年から1996年の間、大統領ラミロ・デ・レオン・カルピオは、ゲリラ勢力との対話を進め、ほぼほぼ内戦に終止符を打つことになる。そして、内戦期間中最後の大統領、アルバロ・アルスが内戦を終わらせ和平協定に漕ぎつけた。1987年にビニシオ・セレソ大統領の時代に国民和解委員会が設立され、虐殺に関する事実が確認及び整理されてきた。そして先住民出身のリゴベルタ・メンチュウが1992年にノーベル平和賞が授与されるなど国際社会に虐殺の事実が広まっていた。そして国連監視団のもとでゲリラの武装解除を進めていった。
無事、36年間続いていた内戦が終わったが、問題はまだまだ山積みである。職を失った特殊部隊員は麻薬カルテルの構成員になるなど、元特殊部隊員は麻薬戦争に大きな影響を与えた。政財界の結びつきも強いせいで汚職が多く、現在汚職を撲滅するために尽力しているが、前途はまだ厳しいものになっている。そして、軍部と政治の分離がまだ完全にできておらず、2012年から2015年まで大統領をつとめた、オットー・ペレス・モリーナは1993年の政治危機にも大きく関わっているとされ、内戦中にも特殊部隊員として人権侵害に関わっていると言われており、2015年に汚職容疑で逮捕されて以来現在も勾留されている。
そして、内戦において人権侵害を行った者の裁判が2000年代に入ってから始まった。やはり、内戦で国家が弱体化したことにより裁判にも遅れが生じた。現在も裁判が行われており直近では自警団のメンバーが強姦の罪で30年の懲役が宣告されている。そしてドスエレスの虐殺に関わったカイビレスの元将校たち5人に対して6060年から6066年の実刑が確定し、2013年には元大統領のリオス・モント元大統領に懲役80年が宣告されるなど着々と内戦の重荷の精算が進んでいっている。
でも現在も教育水準が低く識字率が80%を切っている。長い内戦で失ったものが大きいものだというものを婉曲的に示していると思う。主要産業も農業しかなく特産品はコーヒーくらいしかない。今後、産業の多様化が求められるだろう。
参考文献 https://www.cnn.co.jp/world/35069913.html https://www.cnn.co.jp/world/35031921.html https://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0304F_T00C11A8FF1000/
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