悲劇のグアテマラ(中編) ―――革命崩壊から国家の崩壊へ 〜〜忘れ去られたジェノサイド〜〜

グアテマラ・マヤ系先住民大虐殺

革命が崩壊してしまったグアテマラでは、1944年以前のナチ政権に戻ってしまった。封建主義的思想を持つアラナ派のアルマスは10年かけて作ってきた革命をすべてウビコ政権時代に戻してしまった。更には、自分がつくった党以外の政治参加を禁止し、そして彼は秘密警察の復活つまりは完全な独裁の復活を示すことになった。しかし、1957年に暗殺された。

その次の大統領はミゲル・イディゴラス・フエンテスであった。彼は1950年の大統領選でアルベンスとしのぎを削っていたが敗れてしまった。しかしあるマスのクーデターの影響で、イディゴラスは親米のコロンビア大使として勤務したあと、大統領選挙のため帰国し議会は反対派で締めていたが、大統領に選ばれた。最初は労働組合を許可し、反対派の人間を解放するなどしたが、反政府運動が大きくなり独裁化した。1960年11月13日、クーデター未遂が発生し、なんとか鎮圧したが、その後クーデター勢力がゲリラ組織「MR-15」を結成し、その後36年の内戦の泥沼に引き込まれていくことになる。しかし、1963年アレバロ元大統領がグアテマラに帰国し、大統領選に出馬することになったが、それを恐れた軍部はクーデターを起こし、イディゴラスは亡命した。

内戦に突入し、米国に支援されていたが、政治的には全く安定しない時期に突入した。21世紀に入ってしばらくするまではその不安定さが続くことになる。(以降内戦が終わるまでの一部を除く大統領の表記はすべてイニシャルとする)

軍事クーデターを引き起こしたE大統領は憲法や政治活動をすべて止めるなどの措置を取った。その後少数の党だけの大統領選の出馬を認め、1966年、JM大統領が選ばれる。久しぶりの民間人であったが、実権が軍の手元にあったままだった。彼は左派のゲリラと右派のゲリラにも命を狙われる板挟み状態となった。1968年上半期にはゲリラの攻撃が激しくなりゲリラの本拠地に総攻撃を仕掛け、約数千人が亡くなったと言われている。そして下半期には武装反乱軍(FAR)によってアメリカの大使が射殺される。そのような出来事が最悪の内戦、そして大虐殺につながる。JM大統領は1970年退任する。

後任はCA大統領になったが、1982年になるまで彼による不正選挙が横行したとされている。彼は1年間の間戒厳令を敷いて政治的弾圧を起こした。この頃になると、世界中から非難の声が上がり始めた。1974年にはKL大統領が就任する。地震発生時の対応で国内からは人気を博したが、人権侵害の状況は変わらなかった。ジミー・カーター大統領の時代、米国からの大きく支援は減らされた。しかし彼の時代にはまだ経済は発展していたことによりいかなる人からも人気であった。1978年RL大統領に政権交代をした。この時代になると、内戦は激化し続け人権問題は悪化の一途をたどった。1981年アメリカ史上の悪魔レーガンが軍事支援を復活させた。

1982年にこの状況を一気に悪化させた出来事が起きる。エフライン・リオス・モントがクーデターを起こしたのである。そして彼は大統領になった。彼はたった一年間しか大統領務めていないが、彼の時代に虐殺による被害者の数は頂点になった。そしてその後オスカル・メヒア大統領がクーデターにより就任した。そして彼は恩赦を出したりもしたが、”怪しい”ものは徹底的に殺害した。キリスト教の聖職者から先住民までゲリラに関わっていると思われた人々は国軍や民兵団によって多数が無残に殺された。その時代に、自分たちへの責任を回避するために内戦の関係者全てに恩赦を出す法律を可決したが、内戦終結の後に破棄された。1986年に彼は民政移管をしたため、次に選挙でビニシオ・セレソ大統領が選ばれ軍事独裁が終わった。内戦に終わりを迎えれるかと思いきや、軍による虐殺は続いていた。1990年、サンティアゴ・アティトランにて虐殺が発生し、非難を受けた米国は支援を停止した。後任は、JS大統領になるが内戦の根本的解決には至らなかった。そして自主クーデターを起こしたが失敗して、1993年退任した。

ここまでの間で、クーデターやクーデター未遂の発生件数はおそらく100回を超えていると言えるだろう。そしてこの時代のマヤ族大量虐殺の被害者は最低32,632人から10万人を超え、内戦による死者・行方不明者は20万人を超えると推定されている。この後には和解や裁判が進んでいくことになるがその道は困難を極めたものであった。(後半へ続く)

参考文献 “Guatemala: Memory of Silence” . Scientific Responsibility, Human Rights & Law Program

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