ソビエトに反抗した共産主義国「キューバ」

民族自決権という革命の神髄

現在キューバは、親ロ派のミゲル・ディアス=カネル政権のもと国家が運営されている。2019年、大統領職が復活し、2022年に同性婚が合法化されるなど、キューバは目まぐるしく変化している。外交関係も大きい変化が起きるはずだった。2015年に米国との国交回復を果たし、大使館も復活した。米国の冷戦時代から引きずってきた重荷がまた一つ降ろせたはずだった。だがたった3年せずして潰えた。トランプ大統領がキューバにいる外交官への電磁波攻撃を主張し、締め付けを強め、政権交代直前にキューバをテロ支援国家に再指定するという極悪非道の決定を下した。後に電磁波攻撃の言説は科学的に否定された。このように彼らは約束を破り、再度キューバの期待を裏切ったのであった。こうして現在のウクライナ侵攻を支持し、中露に支援を求める結果となってしまった。米国にはキューバをロシア側、要するに敵側に回さないという選択肢はなかったのであろうか?

キューバ革命直後はアメリカとの友好関係を継続するつもりではあったが、フィデル・カストロの米国訪問に、アイゼンハワー大統領からは会談を断られ、ニクソン副大統領との会談を短時間で切り上げるという冷遇は、共産革命とは違い民族自決革命を進めていたフィデルは反発し社会主義革命を進めていくことになった。裏切られてしまったフィデルは完全にアメリカを信用しなくなった。晩年、米国との国交回復の際「国交回復は支持するが、絶対に米国を信用しない」と述べた。冷戦終結後は徐々に対話路線を推し進め、破門されたバチカンとも関係回復までこぎつけるなど、国際社会への復帰へと進めていった。でもやはり米国との関係改善は困難であった。

では、本題のソ連に反抗した国「キューバ」について、キューバ革命は元来米国からの傀儡を脱するために起きた革命であった。キューバの革命思想はスペインからの独立戦争時に命を落とした作家より”反帝国主義”思想を継承した「ホセ・マルティ主義」が基本である。しかし前述の米国の冷遇により、共産主義国化を進めていくことになる。それでもカストロ兄弟とチェ・ゲバラが中心で起こした革命の神髄は他国によるいかなる”搾取”を止めることであった。そして、ゲバラはソ連とその衛星国を痛烈に批判した「チェコスロバキアは共産主義みたいな何か」と。ゲバラはソ連による搾取も徹底的に嫌がったのだった。こうしてキューバの政権とも関係が悪化し、新米政権のボリビアでの新たな革命を夢見て、新米政権と戦い政権からの命令で処刑されゲリラとして生涯を終えた。

だが身寄りのないキューバはソ連に頼らざるを得なかった。このようなジレンマが今もキューバを襲っている。私も完全なる独立を実現するのは困難であり渇望であることは重々理解している。同じ島国としての誇りを共有する我々の望みはいかなる国からの搾取への反抗である。我が国も現在、他国による搾取を受けている。他国による他国への搾取や侵攻はいかなる政治スタンスでも許さない。真の独立と中立のために我々は突破口を見つけなければならない。米国への隷属と米国による重圧とともに、ロシアへの隷属とロシアによる重圧を排除することが日本とキューバ両国の一番の望みであり、その思いが両国民多数の心のどこかに燻ぶっていると私に”誰か”が語りかけているかのように聞こえるし、私も心の中でその火種がまだ燃えている。

参考文献 Che Guevara —– Jon Lee Anderson 著 Fidel Castro: My Life: A Spoken Autobiography —-Ignacio Ramonet 著

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